服薬治療を始めて1ヶ月ほどが経った。ひとまず最少量から様子を見るということで、薬への不安や恐怖を取り除くためのリハビリとして一番少ない量から服用しているのだけれど、特別何かが劇的に変わったわけではない。もともと効き目がマイルドな薬ということで、変わっているのか変わっていないのか正直分からない。でも少しずつ以前よりも自分の感情に余裕が出てきている気がする。
今まで特に理由もなく猛烈な不安を感じることが度々あったのだけれど、それがかなり抑えられてきた気がする。ぼんやりとした不安はあるけど、前まではかなり激しい不安がいきなり襲ってきていたのに対して、今は明瞭度の低い霧のような不安が度々現れる程度になっている。この「猛烈な不安」は不安障害になった人にしか分からないと思う。分かりやすく言うと、生きるか死ぬかの事故や災害に遭遇した時に感じる焦燥感や切迫感が一気に理由もなく襲ってくる感じである。「ぼんやりとした不安」というのは、なんだか不安のような気がするけど別に居ても立っても居られないほどではない、やり過ごせるような不安という感じ。ほとんどの人が経験して当たり前に自覚する程度のものだと思う。
薬を飲み始めて、ようやく自分は自分が苦しかったという感情に対して向き合うことができた気がする。その渦中にいる時は「別に死ぬわけでもない」と思って耐えていたけど、それよりも一段階楽な状態に降りてくると、あの時は辛かったんだなということがよく分かる。坂を登っている時は辛いと感じないけど、帰ってきた時にああ辛かったな、足が痛いな、と思う感覚に似ている。感覚というものはその状態にいる時はなかなか自覚できないと思っていて、何か区切りがついたり別のことを始めた時にようやく自分の中で腑に落ちてくる感じがする。そしてその時に初めて俯瞰で見ることができて、まとまった言語化が出来るようになる。
じゃあ、もっと薬を早く飲み始めていたら楽になっていたんじゃない、と言われると、自分でもそう思うし、判断を誤ったのかもしれない、とも思う。でもたらればを言っても仕方のないところもあるし、過去の自分の判断を今から変えられるわけでもなく、必死に自分でコントロールしようとしてきた経験は役に立っているので、これからは薬の力も借りつつ、今まで通り頑張って生きていきたいな、と思う。完全体になったわけでもなんでもないし、無理は効かないし、まだまだ不安定だけど、とりあえずリスタートの地点に立てたのだと思う。
4月から、ゆっくりだけどお仕事も再開していきたい。こんな自分でも出来ることがあれば、ぜひお手伝いさせていただきたいと思っているので、どうかよろしくお願いいたします。