果たせなかった約束がいっぱいある。
2016年から、福知山のご当地アイドルグループ「Happy3days」を応援している。市民新聞だったのか、インターネットで知ったのか、もう記憶はあまり定かではないけれど、自分が昔住んでいた街にアイドルグループが出来るというニュースが載っていた。「こんな田舎でアイドルを作るなんて大丈夫なのかなぁ」「メンバーも集まるのかなぁ」と正直最初は思っていた。でも純粋に楽しみだったのと、小学生の頃からの無類のアイドル好きの血が騒ぐのを感じて、「これは応援しないといけない!」「イベントに行かなければいけない!」という気持ちが生まれていた。それは半ば使命感のようなものだった。
Twitterにグループの公式アカウントが出来て、事前にアナウンスされた通り順番にメンバーがお披露目されていき、その様子をワクワクしながら見ていて、ある一人が紹介された瞬間にビビビッと来た。いわゆる、「推し」というレーダーが反応した瞬間で、それが初期メンバーの一人の萌衣子さんだった。リプライを送ったら返事が返ってきて、すごく感動した。今まで「アイドル」というものをどこか遠い目線で見ていた自分にとって、初めて感じる「距離が近い」アイドルだった。アイドルを見ているというよりも、地元の女の子たちがスターになっていくのを見ている感覚が強かった。
その後、出陣式というイベントがあって、自分は初めて生でHappy3daysのメンバーを見た。皆緊張していて、初々しかった。「アイドル」と名乗ってはいるけれど、まだこれからアイドルになっていく、ほんの最初のプロセスを目撃している感じ。イベント終了後、ライブチケットお渡し会の列に並んで、自分の番になってメンバーの前に行ったら、メンバーがあっと驚いて、「キューピーさんや!」と声をかけてくれた。推しの萌衣子さんはむちゃくちゃ喜んでくれて、一緒に参加して後ろで並んでいた姉に「すごい盛り上がってたけど何したん?」と言われた。見ず知らずなのに、会う前から認知されて、会ったら喜んでくれる。不思議な感覚だった。初めての定期公演への招待券をその場で手書きでささっと書いてくれた。その後、体調を理由に定期公演には行けなかったのだけれど、「きゅーぴーちゃん」と書かれたその袋をずっと持っている。
それから月日は経って、萌衣子さんと高松ゆうあさんの卒業が先日発表された。
応援して下さっている皆様へ
— 萌衣子 @Happy3days (@h3d_moeko) February 25, 2019
2019年3月30日をもって
Happy3days を「卒業」する事となりました。
最後まで私らしく、そして大好きなファンの皆さんと楽しい時間を過ごせたら嬉しいです!
よろしくお願い致します。#ハピスリ pic.twitter.com/6h2pxm2TVB
応援して下さっているファンの皆様へ
— ゆうあ @Happy3days (@h3d_yua) February 25, 2019
私、高松ゆうあは
2019年3月30日をもって
Happy3days を「卒業」する事になりました。
突然の発表となり、ほんとにごめんなさい。
最後まで、全力で活動します!
よろしくお願いします。#ハピスリ pic.twitter.com/dWYdJBws0K
最初は「仕方のないことなんだなぁ」「まだ若いし、これからがあるし…」と思って受け止めようと思ったのだけれど、後から後から思い出が溢れてくる。出陣式で初めて会った時のこと、Twitterでの何気ないリプライのやりとり、去年ようやく定期公演に行けた時に交わした会話や、2周年記念のラジオでメールを読んでもらった事、もうどうにも落ち込んで仕方がない時にハピスリの曲を聴いて奮い立たせていたこと、行けなかったライブの動画の一部分をいつまでもいつまでも見続けたこと、まだ2年半なのにたくさんあった。保存していた写真の一つ一つを眺めていたら、なんとも言えない切ない気持ちになった。決してライブに頻繁に行けていたわけでもない、最前列でメンバーに声援を送れていたわけでもない。それなのに思うことが多すぎる。
ハピスリの好きなところは、もちろんアイドルなのだけれど、それよりも地元を大切にしているところで、あくまでも「福知山という街を盛り上げたい」というコンセプトが先に来ているところである。誰かに言われたわけでもなく、グループ自体も、どこかのお偉いさんの主導ではなく、市民の人たちの間で自然に発足して、メンバーも自分がやりたいから、やってみたいから応募して、本当に盛り上げたいから盛り上げようとしている、そんなところがすごく好きで、だから自分もここまでこのグループに思い入れがあるのだと思う。病気を理由に休養をして、自分が一体何をするべきなのか分からなくなった時、彼女たちの存在が励みになったし、地域を盛り上げようとしているハピスリを見て、福知山にはこんなに熱量のある女の子たちがいるんだな、と嬉しくなった。デザイナーとして地域に貢献したい、という気持ちと、ハピスリのメンバーの熱量は同じ気がした。だから他人事とは思えないし、おこがましくも、ハピスリにいつかデザインで関われたらいいな、と思っていたりもする。
Happy3daysが無くなるわけではないけれど、確実に一つの区切りであることは間違いなくて、この2人の卒業は自分にとって大きすぎて、そう簡単に割り切れない。特に推しである萌衣子さんの卒業の一報にはびっくりしてしまって、正直まだ気持ちの整理がついていない。萌衣子さんはメンバーの中でも特に福知山に対しての熱量が大きくて、大学で地域学を学び、それを自分のスキルに活かそうとしていて、そんな姿勢を見ていて自分も刺激を受けていた。アイドルというよりも、めちゃくちゃ顔が綺麗で尊敬できる人のような存在で、それでいてリプライでの気軽さは地元の友達のような妙な親近感もあったりする。後にも先にも、こんな妙な関係性のアイドルの子にはもう出会えないと思う。自分が今まで感じてきたアイドル像を覆される人だった。
想いが大きすぎて、重たすぎて、ももいろクローバーのオレンジノートという曲の、「駆け出した気持ち届くの?言葉は空に消えていくよ」というフレーズが頭の中をひたすらループしている。今までのアイドルに感じたことがない、複雑すぎるこの胸中をすっきり綺麗に整理できる日が近いうちに来るとは思えないけれど、今の自分に出来ることは地元で行われる最後の定期公演に行って直接顔を見て声をかけることだけで、そのためにはまず体調の管理をちゃんとしていきたいな、と思っている。出来なかったことがいっぱいあるし、後悔もいっぱいあるけど、過去を未練がましく思っていても仕方がない。2人の卒業をきちんと見届けてあげることに専念したいと思う。
改めて、「いつか」という言葉を使わないようにしたい、と思った。「いつか」っていつか分からないし、すごく無責任な気がして、出来ることがあるならいつかではなくて今したい、と思うようになった。アイドルもだけれど、何かもがずっと自分の都合のいいように存在してくれるわけではない。ならば、アクションは起こせるうちに起こしていきたいな、と思った。
活動を続けるハピスリのメンバーはこれからも応援したいし、Happy3daysをもっと全国に広めていきたい。卒業する2人の未来も応援していきたい。その中で、自分も地元に対してアクションを起こせていけたらいいなと思う。この動画のパフォーマンスが力強くて大好きで、ずっと見返しているのだけれど、今披露されている曲をこのメンバーで聴けるのもあと僅かなので、大切に噛み締めていきたい。ずっと忘れないように。
無意識に育った
諦めからのスタンスを
ぶち壊して、覆して、
この街、人変えるだけ
その姿見ててよ
証明してみせるから
可能性、伝われば、広がると信じてHappy3days - Time