物心ついてから、自分の中に無意識下のうちに水辺への憧れがあった。生まれた場所も住んでいる場所も山に囲まれているせいか、感覚としては喉が乾く感じに近いというか、山、山、山の風景を見ていると水を欲してくるというか、そんな感じ。海なし県に生まれた人が海を見ると興奮することがあるけど、ほぼほぼあれに近く、完全な無いものねだりでもある。
自宅からわりとすぐの場所に川があって、手短に水を欲している時は川で満たされるのだけれど、それよりもっと大きなスケールの水辺、つまり海が見たくなる時がある。一口に海と言っても様々な地形があって、入り組んだリアス式海岸や、穏やかな瀬戸内海とか色々あるけど、一番物理的に近いのは日本海側の海なので、日本海に面していて、距離的によく行く舞鶴の海を見ることが多い。
舞鶴は昔からの軍港の風情と港町の風情が入り混じっていて、なんとも言えず懐かしい気持ちになる場所である。もっとスケールの大きな海を見たければここからさらに北、丹後半島の方に車を走らせるとほぼほぼ視界を遮るものがない壮大な日本海を拝むことができる。ただ、あまりにも遠すぎるので最後に行ったのはもういつだか覚えてない。海の色も沖縄の海のようで綺麗なので、また近々行きたいとは思っている。
海ではなくて川だと、京都の鴨川も好きで、自分が目にすることが多い由良川とはまた違った風情がある。街の中をどう水が流れているかでまた感じるものも違ってくるから不思議。バイトから帰る時、時間があると四条大橋のたもとまで下りてボーッとしていた。
由良川と鴨川の違いはなにか?と聞かれそうなのだけれど、「自然のバランス」だと思う。鴨川は京都という大きな街の中を流れるので細やかに調整されているイメージ。対して由良川はありのままというか、自然の中をザブザブと流れているイメージ。同じ京都府の中でも違った表情を見せてくれるのが面白い。
最近のもっぱらの憧れとしては、瀬戸内の尾道水道で、「テッパンか!」と言われそうなのだけれど、街と海のバランスがすごく良い。行ったことはないけれど、千光寺から街を見下ろろす地形を見るたびに刺さってくるものがある。STU48というアイドルの「瀬戸内の声」のMVは、尾道がメインにフューチャーされていて、曲が持っている静けさと相まってとても良かった。
海外の海の風景なんかも写真や動画ではよく見るけれど、海しかないというよりは街と自然が共存している風景が好きなようで、それ単体の風景にはあまり惹かれない。よっぽど疲れているとお風呂場の水だけでも癒されたりするけど。いわゆるバケーション的な風景にはあまりそそられないのかもしれない。でもたまに沖縄の海をずっと見ていたくなる時があって、そういう時はYoutubeでひたすら動画を見ている。
これからも街と水の調和のバランスが取れた、いい水辺を探していきたい。