個人的な話になるけれど、2年前にWebデザイナーとしてアルバイトを始めた時、最初は謎の自信に満ち溢れていたのだけれど、半年ほど過ぎたころ、いかに自分の能力が低いか、ということを思い知らされて、どんどんと落ち込んでいった。それまで独学でやってきたから、自分の能力を知らないままだったのが、働き始めたことによって如実に自分の能力の低さを思い知らされる機会に直面したというか、毎日毎日、どうしてこんなに何もできないんだろう、という気持ちでいっぱいになった。その間はとても辛かった。家に帰って、「何か作らなければ」と思っても、頭の中が不安でいっぱいで、気持ちばかり先走って何もできなかった。休日も同じで、なにか作業をしなければ、と思えば思うほど、何も作れなかった。そうして、平日を迎えて、結局また何も出来ていなくて、レベルが低いままの自分と直面させ続けられるのが辛かった。
その時は、「このままデザインを続けて、自分が成長する機会なんてやってくるのだろうか?」と思っていた。周りのデザイナーの方々は皆すごい人たちばかりで、自分がそのレベルに到達するのに何年かかるのだろう、と思ったら、すごく不安な気持ちになって、そこから逃げ出したくなった。「デザイナーなんて向いていない」と、逃避論に逃げた時もあった。逃避したところで、他に何か向いているものがあるのだろうか、と考えたりもして、結局余計に辛くなった。
そうこうしていたら、何だかよく分からないまま病気になってしまって、家で療養しながら、色んなことを考えていた。病気になってすぐの時は、全部悲観的に捉えてしまって、「もうデザインなんてやめたい、苦しい」と思ってしまっていた。周囲から、調子の悪い時に決断をすると良くないから、もうちょっと考えてごらん、と言われて、毎日、自宅の周りを散歩しながらぼんやりと、色んなことを考えていた。その時に聴いていた、ももいろクローバーZの「白金の夜明け」にこんな歌詞がある。
なんかちょっとずつうまくいかない
ちっちゃい絶望ばかりで
ぜんぶヤメちゃえばいいって思った
この部分が、あまりに当時の自分の心情そのまますぎて、今でも聴くと胸がグッと締め付けられる感覚になる。ただ、この歌詞はその後、こんな風に続く。
でもヤメる勇気なんかない
なんとなくそれはダメな気がする
「なんとなくそれはダメな気がする」、このぼんやりとした表現が、不思議と腑に落ちて、「やめちゃダメだよなあ」と思った。いつも、行動を決めるきっかけは直感で、「なんとなくそれはダメ」、その言葉が、そのまま当てはまる気がして、「デザインは続けよう」と思った。
そこから、ペースは遅いけれど自分なりに色々とデザインをしていたら、だんだんと自分の能力が、毎日1ミリ以下くらいかもしれないけど、何かが変わってきているのが分かった。アルバイトで教えてもらったことを頭の中で復唱して、毎日とにかく手は動かした。
それから一年くらい経つけれど、今、すごく自分の中で「デザインが上手くなってきている」という実感がある。全体的に、考える力が鍛えられたような気がする。他の人から見たらまだまだかもしれないけど、自分の中でこういう気持ちを持てるようになるとすごく自信になるし、余裕が生まれる。こんな気持ちを持てるようになるなんて、1年くらい前は思っていなかった。考え続けて、手を動かし続けたら、時間はかかるけれど、少しずつ変わっていくのだな、と実感できたことが大きい。そんな当たり前のことに気がつくまで、2年も掛かってしまったけれど。
何事も、焦ったってすぐに結果は出ないし、すぐに諦めたらそこで止まってしまうし、気持ちの持ち方が難しいな、と思う。でも、筋トレでも、体質改善とかでもそうだけど、何かは確実に変わっていっているはずだから、その僅かな変化をじっくり待つようにしたい。待てるようになったことが、自分にとって大きい。
2018年は、その変化をもっと大きくしていきたいな、と思います。頑張っていきたい。